サテライトは需要増も、地方展開は模索

―国交省、東京一極集中で業者ヒアリング

 国土交通省は、「企業等の東京一極集中に関する懇談会」(座長=増田寛也・東京大学公共政策大学院客員教授)の第3回会合をこのほど開いた。新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえて、不動産会社を含む東京に本社を置く企業13社や経済団体3団体を対象にヒアリングを実施。その結果をもとに、コロナでの変化も加味した東京一極集中の要因整理を進める方針。

 企業ヒアリングの結果をみると、コロナ禍でサテライトオフィスを利用する企業が増加していることに関し、ある不動産会社は、「(サテライトオフィスの)都心需要は従前から高かったが、コロナの影響により郊外の需要も増加」とするも、「地方部展開は考えていない。東京と比べ住宅圏とオフィス圏が近接しており需要を見いだしにくい」と回答した。同様に郊外需要が増加していると話す別の不動産会社は「地方展開は、中核都市での直営と、フランチャイズの組み合わせで展開」と回答。サテライトオフィスを提供する側に地方展開の模索が始まっている様子がうかがえる。

 また、オフィス機能の見直しについてのヒアリング結果は、情報・通信会社に「オフィスの40%を解約、海外小規模拠点もオフィスを解約」との声はあったものの、同じ情報・通信会社は「クライアントが東京に集中しているため、郊外移転は考えていない」と回答。オフィス縮小の動きの中心的存在といわれる情報・通信事業者でも、東京を離れることまでは求めていないことが見て取れた。  同懇談会は今後、海外も対象にした市民向けアンケートなども実施し、議論の資料にする考え。11月以降にとりまとめに向けた議論を行う。

2020.09.18