
ニューノーマルに対応したまちづくりへ
―国交省、都市政策の方向性の論点を整理
国土交通省は、様々な分野の有識者61名への個別ヒアリングを通してまとめた「新型コロナ危機を契機としたまちづくりの方向性」を発表した。今後の都市のあり方にどのような変化が起こるのか、都市政策はどうあるべきかを示す論点を整理した。国交省はまちづくりに携わる地方自治体や民間事業者に広く周知したい考え。論点整理の内容を基に、秋頃をメドに有識者検討会を設置して具体化に向けた議論を進める。
今後の都市の方向性は、都市の持つ集積のメリットは生かし、国際競争力の強化やコンパクトシティを引き続き進めつつ、「3密回避」などニューノーマルに対応したまちづくりが必要であると示した。職住近接のニーズの高まりから職と住の融合が起こる可能性があり、働くにも住むにも快適なゆとりあるスペースが求められるようになる。
定例会議に集まることなど、都市機能の一部はウェブ会議に代表されるデジタル空間へ移行。リアルの場に求められるのは、「偶然の交流や白熱した議論、実体験を伴うもの、文化やエンターテインメントといった代替しがたい経験を提供する機能」とまとめた。オフィス需要についてはヒアリングでも意見が分かれた。テレワークの浸透で床面積に余剰が出るという意見と、現状でも1人当たりの床面積は十分ではないことから、別の新たな使途で埋まり需要は減らないという両論があった。安全性や広さにゆとりが求められるため、老朽化した中小ビルは需要が減少する恐れがある。 このほか、まちづくりと一体となった総合的な交通戦略の推進、緑やオープンスペースの柔軟な活用などが盛り込まれた。
2020.09.11