国交省、新住生活基本計画素案を11月に

―既存住宅流通の施策再点検、官民連携を

 国土交通省は、新たな住生活基本計画の策定議論を進めている。11月をメドに「新しい住生活基本計画(全国計画)(案)」を公表する予定。このほど行われた第53回社会資本整備審議会住宅宅地分科会では、その土台となる中間とりまとめ案について議論した。

 これまでの議論から、現在の住宅政策の課題を「居住者」「ストック」「まちづくり」「産業・新技術」の4視点に分類することや、各視点に関連する12項目を設けることを整理した。それぞれの項目について、検討の方向性や具体的施策のイメージ、指標(目標)を設定する場合のイメージを示した。

 「居住者の視点」は、子供を産み育てやすい住まいの実現など4項目。「ストックの視点」には、良質なストックが市場で評価され循環するシステムの構築など4項目が示された。「まちづくりの視点」は将来にわたって災害に強い居住空間の実現など2項目、「産業・新技術の視点」は居住者の利便性や豊かさを向上させる住生活産業の発展など2項目が入った。

 「良質なストックが市場で評価され循環するシステムの構築」の具体的施策には、「健全なリースバックやリバースモーゲージによる資産としての住宅の利活用」が掲げられたほか、「住宅販売時における将来の住宅価値の算定・買取保証・残価設定ローン(残存価値を設定し残価を除いた部分を返済するローン)等の提供を通じた質の高い住宅の流通促進」が記された。

 関連指標として既存住宅流通の市場規模を18年の4.5兆円から25年に8兆円とすることを示した。委員からは既存住宅流通に関し、「国交省の各種施策を再検証し、全国計画では官民連携や民間の取り組み支援という視点を盛り込んで欲しい」との意見があった。

2020.09.11