水害リスク踏まえたまちづくりに指針

―国交省、モデル都市でケーススタディ

 国土交通省は、21年3月に「水災害リスクを踏まえた防災まちづくりのガイドライン」をまとめる。水災害対策とまちづくりの連携のあり方検討会がこのほどまとめた提言に基づき、災害に強いまちづくりを進めるための考え方・手法を示すもの。骨子は既に策定済みで、今後は複数のモデル都市を選定し、骨子に沿ってハザード情報を抽出したり、リスク評価を行ったりと、具体的な検討を実施する予定。モデル都市でのケーススタディで得た知見をガイドラインに反映する。

 検討会の提言では、まちづくりに活用するための水災害ハザード情報のあり方、水災害リスク評価に基づく防災配慮型のまちづくりの必要性と、リスク軽減の方策などをまとめた。リスク評価は、ハザード情報に加えてハザードエリア内の人口や都市機能、災害対策の実施状況などをもとに多面的に評価を行う。水災害リスクの軽減に資する取り組みに対しインセンティブを与えることを検討することも提言に盛り込まれた。

 提言をベースに示されたガイドライン骨子は、①まずハザード情報を整理し、まちづくりの検討に必要な多段階のハザード情報を充実させる②水災害ハザード情報をもとに地域のリスク分析・評価を行い、まちづくりの方向性を検討③都市構造・都市機能上、水災害リスクを認識し受け止めたうえでまちづくりを進める場合は防災・減災対策を組み合わせて実施―と、水災害対策とまちづくりの進め方の基本の考え方を示した。各段階で必要となる取り組みもまとめている。  ガイドラインのほか、提言を受けた国の対応のひとつとして、水災害対策を行った場合の再開発ビルなどの容積率緩和について、地方自治体への通知を来週中にも行う予定。

2020.09.11