国交省・栗田卓也事務次官が就任会見

―都市の集積の利点はコロナ禍でも発揮

 栗田卓也・国土交通事務次官は19日夕、専門紙記者との会見に応じた。「国土づくりでは気候変動という大きな環境変化に対応する。暮らしやすい豊かな地域づくりも大事な仕事。これらの政策を社会に上手に伝えていければと思う」と就任の抱負を語った。

 気候変動により頻発・激甚化する自然災害に対して、防災減災・国土強靭化は最重要課題のひとつと位置付ける。一方で、コロナ対策も大きな課題となった。コロナを踏まえたまちづくりのあり方を問われた栗田次官は、「コロナで過密への問題意識が喚起されたが、集積と過密は違う。都市は人や物の集積を通じて、イノベーションを起こす役割がある。その役割はなくならず、集積という都市のメリットの発揮は維持すべきものだ」と考えを述べた。

 同時に、「新しい生活様式」に対応するための取り組みも始める方針だ。郊外の駅周辺にサテライトオフィスがつくられている動きを例に挙げ、「ニューノーマルな働き方に市街地構造を変えながら対応していく動きを、政策的に後押ししていかなくてはならない」との意向を示した。また、コロナ対応は不動産業界にも求められていることから「IT重説を活用して取引の非対面化を進める」とした。

 住宅分野では、5年に一度の見直しが進む住生活基本計画に触れた。見直し議論で、老朽化した空き家の解体につながる方策や、ハザードエリアに立地する住宅を減らすための対策を求める声があることを報告。こうした背景や人口減少社会にあることを認識しつつ、新規供給については「再開発など、ニーズに対応した新規の住宅供給は必要なはず」と話した。

2020.08.28