
国交省、建設工事の工期基準の実施勧告
―住宅・不動産分野の考慮すべき事項明記
国土交通省の中央建設業審議会は、建設工事の「工期に関する基準」を作成し、その実施を勧告した。中建審は基準について、適正な工期を確保するため発注者と受注者が考慮すべき事項の集合体と位置付ける。工期全般にわたって考慮すべき事項のほか、住宅・不動産など、民間発注の大きな割合を占める分野についても考慮事項をまとめている。
勧告は、公共事業の発注元である都道府県や市町村、建設業団体のほか、不動産協会、住宅生産団体連合会に対しても行われた。基準は、建設工事は受発注者間と元請け業者・下請け業者間が対等な立場で、合意に基づいて契約を締結することが基本と示す。そのうえで、建設現場の働き方改革の推進や、工期変更の際には受発注者間の合意のうえで施工を進めることなど、工期全般にわたる考慮すべき事項を盛り込んだ。
住宅・不動産分野については、完成時期を見据えて、「事業計画段階から契約日・工事着手のメドを設定することが必要」と示した。災害や不可抗力で引渡日の変更があり得ることを、売買・賃貸借契約時に、利用者に説明することも明記。災害や不可抗力で工程の遅延が生じ、建設労働者の違法な長時間労働を前提としなければ遅れを取り戻せない場合は、利用者に「引渡日の変更について理解を求める」と記載した。
また、著しく短い工期と疑われる場合は、駆け込みホットラインが設置され、受発注者、元・下請業者問わず相談が可能なことも示した。新型コロナウイルスの対応も盛り込まれ、「3密」の回避のため適正な工期を確保できなくなった場合は、必要に応じて工期の延長に対応することが必要であることも明記された。
2020.08.14