19年度の不動産証券化資産は4.1兆円

―国交省、取得用途で物流がオフィス抜く

 国土交通省は、19年度の「不動産証券化の実態調査」をまとめた。19年度に不動産証券化の対象として取得された不動産・信託受益権の資産額の合計は、約4.1兆円(前年度は4.7兆円)となった。証券化ビークル等が譲渡した資産額は約3.9兆円(4.1兆円)で、取得と譲渡の差が+約0.2兆円で、19年度は市場規模がその分拡大したことになる。前年度の+0.6兆円に比べ拡大幅は減少したが、プラスは維持した。

 取得された資産をスキーム別にみると、リート(私募リート含む)は実物0.22兆円、信託受益権1.50兆円の合計1.72兆円で、全体の約42%を占めた。不動産特定共同事業(FTK)は実物0.18兆円。リート(私募リート含む)とFTKの取得資産の合計は1.90兆円となった。その他私募ファンド(合計の推計値のみで実物・信託受益権の内訳なし)の取得資産は2.22兆円。一方、譲渡された資産は、リートが実物0.03兆円、信託受益権0.23兆円。FTKが実物0.07兆円。その他私募ファンド3.53兆円だった。

 リートとFTKの取得資産(合計1.90兆円)の用途の割合をみると、13年度から5年連続首位だったオフィスを物流施設が抜いて、28.9%でトップとなった。次点はオフィスで21.1%、宿泊施設19.3%、住宅12.5%、商業施設10.7%と続く。

 リートとFTKで19年度に取得された資産の都道府県別実績では、東京都が最多で292件(前年度247件)で、全体の45%を占めた。次いで神奈川県57件(46件)、大阪府52件(65件)。FTKのうち、不動産の開発資金を証券化で調達する「開発型の証券化」は44件(50件)で、約830億円だった。

2020.08.07