
政府、所有者不明土地対策の工程表改定
―民法改正、20年度中の法案提出を視野
政府は3日、所有者不明土地等対策のための関係閣僚会議を開催し、最新の基本方針と工程表を決定した。所有者不明土地対策に重点を置いた民事基本法制(民法・不動産登記法)の改正法案は、「20年度中できるだけ速やかに法案提出」と記載。当初、法務省は今秋にも想定される臨時国会での法案提出を目指してきたが、新型コロナウイルスの影響で改正議論が停滞したことから、時期に幅を持たせる形となった。
新たな基本方針は、今年3月に成立した土地基本法に基づき、所有者不明土地問題の解消に向け、組織・定員を含めた体制の強化や予算要求を検討することを盛り込んだ。最長10年の利用権を設定して、所有者不明土地を公共事業に活用できることとした「所有者不明土地特別措置法」の施行3年目(21年11月)に向けた取組方針も示した。所有者不明土地の円滑な利活用・管理を図る仕組みを拡充。また、低未利用地対策で必要な制度や予算の確保も進め、22年には同特措法の見直しを実施することとしている。
民事基本法制の見直しは、20年度中に法案を提出した後は、一部の規定を除いて公布から2年程度で施行する方針。見直しの主な内容は、▽相続登記等の義務化▽不動産登記情報の最新化▽土地所有権の放棄制度等▽共有制度の見直し▽財産管理制度の見直し▽相隣関係規定の見直し―など。
土地基本法に基づく国の「土地基本方針」は、不断の見直しを行い、次回は21年に改定することも明記。このほか、国土調査事業十箇年計画による地籍調査の円滑・迅速な実施や、地籍を明確化するための情報基盤である登記所備付地図の整備推進などを盛り込む。
2020.07.10