マンションなどの浸水対策指針を公表

―国交省ら、電気設備の上階設置など推奨

 国土交通省と経済産業省は、「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」をまとめた。マンション、オフィスビル、病院などの建築物の電気設備について、浸水対策のあり方や具体事例を記載。新築時および既存物件の改修時に活用してもらうことを想定している。

 ガイドラインは、浸水対策を講じる際の「設定浸水規模(設定浸水深・設定浸水継続時間)」と、それに対して必要な具体的性能の「目標水準」を設定することを掲げる。設定浸水規模は、市町村のハザードマップなどを調査して設定。建築主や所有者・管理者は、設計者など専門技術者のサポートを受けつつ、目標水準を設定する。

 目標水準を設定したうえで、①浸水リスクの低い場所への電気設備の設置(電気設備を上階に設置)②対象建築物内への浸水を防止する対策③電気設備設置室等への浸水を防止する対策―の実施をガイドラインは推奨する。各項目に対し事例を紹介。例えば建築物内への浸水防止対策の場合、出入り口のマウンドアップ、止水板・防水扉・土嚢の設置などを紹介している。

 想定以上の洪水などの発生による電気設備の浸水に関しては、平時の取り組みと発災時・発災後の取り組みを分けて対策をまとめている。平時の取り組みには、所有者・管理者、電気設備関係者の連絡体制整備や、設備関係図面の整備を挙げる。発災時・発災後の取り組みは、排水作業、清掃・点検・復旧方法の検討と復旧作業の実施を挙げる。このほか、別冊として、様々な用途の建築物でのモデル的な取り組み事例集を策定している。

2020.07.03