
自民・所有者不明土地委がとりまとめ
―民法改正はコロナ禍でずれ込む可能性
自民党の所有者不明土地等に関する特命委員会(委員長=野田毅・衆院議員)は11日、議論のとりまとめを行った。内容について、今後「所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議」が定める基本方針と、政府の「骨太の方針」への反映を目指す。ただ、相続登記の義務化など、具体的な所有者不明土地対策を多数盛り込む民法・不動産登記法の改正は、当初の予定から遅れる可能性が出てきた。
自民党特命委のとりまとめは、昨年の内容に加え、このほど公布された改正土地基本法の内容を反映。同法により土地所有者の責務が明確化されたことから、土地所有者の意識を高めていくことや、土地の利用ニーズのマッチングやコーディネートを行うランドバンクなどの支援を検討することなどが追加された。また、国土調査法が定める地籍調査について、事業計画量や進捗率の目標達成のため、必要な予算の確保を強力に推進することも明記された。野田委員長はとりまとめの内容について「質量ともに厚みを増した形になった」と評価した。
一方で、具体的な対策を盛り込む民事基本法制の見直しは、当初のスケジュールに黄信号が灯っている。改正議論の場である法務省の法制審議会民法・不動産登記法部会は、新型コロナウイルスの影響で2月から議論が中断。20時間分の議論が飛んだ。6月から再開したが、当初予定していた今秋の臨時国会に改正法案を提出するには議論が足りない状況となっている。早期の国会提出を目指す方針に変更はないが、今年9月にまとめる予定だった改正法案は、来年の通常国会に照準をずらして21年2月頃になる可能性がある。
2020.06.19