PwC、東南ア・印のSU投資実態調査

―インド急成長、日本の投資は米中に遅れ

 PwCジャパングループは、東南アジアとインドにおけるスタートアップ投資の実状について調査結果をまとめた。18年時点でインドへの投資額が約189億ドル(対象国全体の66%)と突出しており、シンガポールが52億ドル、インドネシアが38億ドルと続く。ユニコーン企業(評価額10億ドル超の未上場ベンチャー)の数も米国、中国に続きインドが3位に浮上するなど、アジアではインドの起業シーンが特に活況だ。一方、投資元では米中や韓国の資金拠出が目立つのに対し、日本企業の投資姿勢は消極的。PwCは迅速な意思決定や適切なリスク評価の体制構築を日本企業の課題に上げている。

 国内外の企業・公的機関への聞き取りや、09年から18年にかけての取引データなどを踏まえ市況をまとめた。18年度の国別のスタートアップ投資額はインドとシンガポール、インドネシアの3カ国が全体の9割以上を占め、投資対象の業種はライドシェアとEコマースが人気を二分する。成長株のインドでは「民間主導で(起業投資の)生態系が作られ、規模拡大から収益性重視の局面に転換しつつある」(同社)という。同国ではスタートアップの調達総額が12~18年に年平均成長率60%と大きく拡大。資金調達に成功している業種はライドシェアやEコマース、デジタル決済、オンライン教育、モバイル広告などIT関連が目立つ。

 一方、シンガポールは政府主導の起業促進策が効いて市場が拡大。インドネシアは少数の成長企業が資金を集めているが、BtoC中心の市場に過熱感も出ている。このほかベトナムとマレーシアの市場は成長の途上にあり、特にベトナムの将来性を評価している。

2020.06.05