緊急事態宣言、同意なしで土地使用可に

―既存施設、病院や療養施設へ転用進む

 7日に安倍晋三・内閣総理大臣が発出した改正新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言により、対象自治体の知事は、所有者の同意がなくても土地・建物の使用が可能になる。東京都では、ビジネスホテルでの軽症者の宿泊療養が始まった。既存の建物が新型コロナ患者の療養施設に転用されるケースが増える見込みだ。

 緊急事態宣言を受けて、対象エリアの知事は、土地所有者の同意が得られなくても土地・建物の使用が可能となる強力な権限を得る。ただし使用目的は、「臨時の医療施設を開設するため」に限られる。使用前に自治体の職員が土地建物の状況を調べるため立入検査を行うときに、立入検査を拒んだり妨害したりした場合は、30万円以下の罰金に処される。東京都は、対象のエリアや土地建物の規模など基準について今後感染者数などの状況をみて必要に応じて決定する。小池百合子・都知事は東京五輪選手村の療養施設への転用について言及している。

 都は7日、ビジネスホテル「東横イン東京駅新大橋前」(208室)で軽症者の宿泊療養を開始した。これは緊急事態宣言による土地建物使用とは別で、2日に厚生労働省が発した宿泊療養・自宅療養のためのマニュアルを兼ねた通知を受けたもの。208室のうち、100人程度が宿泊療養する。

 通知によると、都道府県が用意した宿泊施設での療養対象者は無症状または軽症患者で、高齢者、糖尿病などの基礎疾患がある人や妊婦は対象外。同ホテルを第1号としてオペレーションなどを確認し、都は宿泊療養先のホテルを今後も増やしていく方針。

2020.04.17