三井住友T、私募ファンド市場20.2兆

―ホテルと商業施設への投資意欲が減退

 三井住友トラスト基礎研究所がまとめた「不動産私募ファンドに関する実態調査」結果によると、19年12月末時点の不動産私募ファンドの市場規模は運用資産額ベースで20.2兆円と推計した。前回調査(19年6月末)から4.8%(約0.9兆円)の増加。1.5兆円増加した前回調査に比べ増加ペースはやや鈍化したが、国内不動産私募ファンドの市場規模の拡大が継続しているとした。

 調査対象は不動産私募ファンドを組成・運用する不動産運用会社で、回答数は43社。調査時期は1~2月初旬で新型コロナウイルスの影響拡大前。エクイティ投資家の投資意欲は、「変化はない」が81%を占め、不動産投資意欲は依然として高止まりの模様。物件タイプ別にみると、前回調査まで国内投資家で「増加」が最も多かった「ホテル」は、「減少」と「大幅に減少」が合計42%に上り、「増加」(13%)を大きく上回った。また、「商業施設」も「減少」と「大幅に減少」が合計31%となった。海外投資家も同様の傾向が目立ってきており、インバウンド需要の減速や供給過剰感の広がりにより慎重姿勢を見せる投資家が増加しているとした。商業施設は消費増税やeコマース市場拡大の影響で投資家の投資意欲が減退していると考える運用会社が増加していると分析。

 19年7~12月に物件を「取得した」のは67%で、引き続き高い水準。取得しなかった利用では「価格目線が合わなかった」が6割強を占めた。また、「当初から取得予定がなかった」が14%で、物件取得困難な状況が長期にわたり継続し、取得検討自体を行わないケースも出てきていることがうかがえるとしている。

2020.04.17