対日不動産投資額、91%増の88億ドルに

―CBRE調べ、海外投資も3年ぶり増加

 昨年1年間に海外の投資家が日本の不動産に投資したインバウンド不動産投資の総額が、前年比91%増の88億米ドルとおよそ2倍に増えたことがCBREの調査で分かった。日本から海外へのアウトバウンド投資も40%増の30億ドルと3年ぶりに増加に転じた。海外の不動産ファンドや機関投資家らが比較的安定した日本の住宅や物流施設などへの投資を拡大。一方、日本の不動産会社らも米国やアジアのオフィスなどに積極的に投資し、対国内外の投資市場が活気づいた。

 集計値は19年の実績であり新型肺炎の影響は反映されていない。対日投資は米州(北米・南米)とアジア、EMEA(欧州・中東・アフリカ)の投資額がいずれも増加。アジア太平洋地域からの投資が122%増の39億ドルと最も多く、対日投資の45%を占めた。アジアの国別では韓国が約40%と最多。米州は11%増の30億ドル(対日投資全体の34%)、EMEAは1184%増の14億ドル(16%)だった。投資主体は不動産ファンドが44億ドル(51%)、機関投資家が28億ドル(32%)などと多く、アセットタイプ別では住宅への投資が362%増と急増した。

 一方、海外の投資先首位は米州で40%増の16億2000万ドル(対外投資の53%)に。米国が16億ドルと大部分を占めるが、CBREは「新型肺炎の影響で20年の米国投資は抑制される」と予想する。アジア太平洋地域は224%増の11億5000万ドル(38%)、EMEAは14%増の2億8000万ドル(9%)だった。EMEAへの投資は18年に続き2億ドル台と低調だったが「EU離脱後の道筋が見えれば英国への投資が増えて」(同社)、全体額が底上げされる可能性もある。

2020.04.17