
賃貸の書面電子化、9月に再度社会実験
―売買IT重説は投資用物件での実施最多
国土交通省は、賃貸取引の書面電子化の社会実験の実施結果と、個人を含む売買取引のIT重説の途中経過を公表した。賃貸の書面電子化は、「電子書面は紙と比較して全体像が把握しにくい」などの課題が指摘され、改善策を施して社会実験を再度実施する。
賃貸取引の書面電子化社会実験は、IT重説に併せて、重要事項説明書等を電子化して交付するもの。19年10月からの3カ月間で、登録事業者113社中17社が実施した。宅地建物取引士から109件、借主から88件回収したアンケートによると、「トラブルはなかった」が宅建士94件(86.2%)、借主74件(84.1%)で、概ね問題はなかった。一方で、「全体像が把握しにくい」の回答が宅建士51件(46.8%)、借主に27件(30.7%)あった。借主の9割がスマートフォン利用で、電子書面に改ざんがされていないかを借主が確認できなかったという報告もあった。
19年10月から1年間継続中の個人を含む売買取引のIT重説社会実験は、2月25日時点の実施経過をまとめた。登録事業者59社中、5社で143件のIT重説が実施された。内訳は投資用物件が139件で最多。物件平均価格は2440万円だった。アンケート(宅建士108件、買主125件回収)によると、「トラブルがあった」との回答は宅建士5.6%、買主20%。買主のトラブルは「音声トラブル」が最多だった。
国交省は今後、課題を改善したうえで、社会実験のガイドラインを7月に改定する。そのうえで賃貸の電子書面化の社会実験を、再度9月から21年3月末まで実施する。売買のIT重説社会実験は、登録事業者を増やすため、4月初旬にも登録事業者を再募集する。売買の書面電子化の社会実験も検討する方針。
2020.04.10