
価値・持続性高める市街地整備へ転換
―国交省、老朽化ビル群の再構築課題に
国土交通省の「今後の市街地整備のあり方に関する検討会」(座長=岸井隆幸・日本大学理工学部土木工学科特任教授)は、市街地整備で取り組むべき方向性を報告としてまとめた。整備手法も含めた今後の進め方の重要な観点を整理している。
価値観の変化により、市街地の評価は「空間がもたらす機能」から「アクティビティがもたらす価値」を重視するようになった。そこでこれからの市街地は、様々なアクティビティが展開され、持続可能で多様性に富んだ市街地が求められると位置付けた。こうした市街地の転換には、これまでの行政中心の開発ではなく、公民連携でビジョンを共有し、多様な手法を組み合わせる更新が必要になる。報告では、地方都市と大都市の違いを認識して戦略を立てることも重要としている。
こうした分析を経て、これからの市街地整備手法については①老朽化・陳腐化したビル群の再構築②都市機能立地等の再編の受け皿となる市街地の再構築③防災・減災に資する市街地整備④多様な地域活動との連携―の4つの観点が重要と示した。ビル群の再構築では、更なる高層化・大規模化が必要とされていない地区では事業成立性の向上が課題と指摘。権利関係が複雑なビルには、「市街地再開発事業に準じた権利変換手法など、建て替えの円滑化の方策を検討すべき」とした。また、新たな基盤整備を行わない「リノベーション型区画整理」も提案している。
今後は、同検討会が中心的に取り扱ってきた「まちなか」以外の市街地の課題について、検討を深めていく方針。
2020.04.03