東大が日本初の不動産研究拠点を開設

─4月から、7部局が連携し4分野を研究

 東京大学は、大学内の7部局が参画して不動産に関する研究を行う「不動産イノベーション研究センター」を4月1日に設立する。学内が分野を越えて連携し、不動産を研究する拠点を設けるのは日本の大学では初めて。不動産会社ら民間企業・団体が寄付による支援を検討中。国土交通省など公的機関からの協力も得つつ、研究成果を国の政策や制度に反映していくことを目指す。

 不動産業界の育成と発展に資する4分野の研究を始める。まず「東京など大都市の都市力向上に必要な制度改善のあり方に係る研究」に着手する方針。具体的には、築古ビルや密集市街地の問題を中心に、老朽ストックの解消方策を研究する。新たなビジネスモデルの社会実装を目的に、多様なサービスと連携した「エリア価値増進方策のあり方」も研究の柱。都市郊外部での生活支援サービスと、エリア価値への効果を研究する。不動産取引データを活用した不動産価格の組成要因分析、AIやIoTといった新技術の不動産分野への導入のあり方も研究する。

 センターの代表は柳川範之・東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授が務める。浅見泰司・同大学院工学系研究科教授、城山英明・同大学院法学政治学研究科教授も参画が決まった。20年秋をメドに、研究の中間報告を行うシンポジウムの開催を検討している。

 研究室は経済学研究科に設置され、事務局も同科となる。このほか工学系研究科、総合文化研究科、情報理工学系研究科、公共政策学連携研究部、空間情報科学研究センター、未来ビジョン研究センターの総計7部局が連携。海外の大学の研究機関との連携も構想にある。当面は20年度から5年間の時限設置とする。

2020.04.03