2020年地価公示・業界団体トップ、大胆な経済財政政策を

―地価公示コメントで新型肺炎にも言及

 20年地価公示は1月1日時点の価格で、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による経済への影響は反映されていない。ここ数年、都心部と並び地価上昇を牽引してきた全国各地の観光地やホテルなどが今年2月以降の感染拡大防止策のため、足元では大きな影響を受けている。さらに、これまでの地価上昇局面はバブル的な要因ではなく、旺盛なオフィス需要や負担力のある住宅取得層など、良好な経済環境を背景とした実需に支えられてきたが、世界経済や国内の景況感には不透明感が漂っており、今後の地価動向も予想が難しい情勢だ。

 不動産業団体のトップが18日発表した地価公示に対するコメントでも、今後の見通しの中で新型コロナウイルスの影響に言及。経済対策を求める声も上がっている。

 不動産協会の菰田正信理事長(三井不動産社長)は地価公示の結果を評価するとともに「今後の経済動向を注意深く見極めながら、機動的かつ大胆な経済財政政策を間髪入れずに講じる必要がある」と指摘。「特に内需の柱である住宅投資を活性化し、住宅市場を安定的に推移させる施策や、国内設備投資の安定的な促進によって企業の生産性を飛躍的に向上させ、成長力を強化する施策が不可欠だ」と強調した。

 全国宅地建物取引業協会連合会の坂本久会長は「一部では住宅部材・設備品の供給の遅れなどにより、住宅・不動産業への影響も出始めている」とし、政府の経済対策に期待感を示した。全日本不動産協会の原嶋和利理事長も「新型コロナウイルスが我が国経済に影を落とし始めており、これに対する政府の強い対応にも期待したい」とコメントしている。

2020.03.27