
未来会議、不動産取引オンライン化議論
―国交省は重説の電子書面交付の課題報告
政府は9日、未来投資会議の産官協議会「スマート公共サービス」会合の第2回を開き、不動産取引・登記手続きのオンライン化について取り上げた。国土交通省がITを活用した重要事項説明(IT重説)や、重説書面を電子化して交付する社会実験について説明。電子書面交付の社会実験では、一部でファイルが開けないなどのトラブルがみられたことが報告された。
IT重説は、社会実験を経て賃貸取引で17年10月から本格運用が始まり、19年末時点で累計5万9709件実施されている。現在は法人間売買取引、個人を含む売買取引で社会実験が継続中。また、IT重説で先行する賃貸取引は次のステップへ進み、重説書類(35条、37条書面)を電子化して説明相手に送付する社会実験が19年10月から12月まで3カ月間実施された。
電子書面交付の社会実験では、ファイルが正常に受け取れなかったり、受け取ったファイルが開けないなどのトラブルが一部にみられた。国交省は原因分析や改善すべき点への対応を行ったうえで、次の段階へ進める方針。3月以降に社会実験の検証検討会を開き詳細を報告する。
未来投資会議の同会合は、社会実験の結果を踏まえ、不動産取引のオンライン化の今後の方向性を今夏にまとめる成長戦略に盛り込む。不動産関連では登記手続きのオンライン化と情報連携もテーマ。内閣官房IT総合戦略室が、1月から登記所が登記済通知データのオンライン提供を開始したことを報告。今後は固定資産課税台帳への登記済通知データの自動取り込みを実現するための検討を進める。このほか、同日はコラビット、アミックス、LIFULLら民間不動産関連企業の先進的取り組みも紹介された。
2020.03.19