国交省、大規模盛土造成地防災に方向性

―宅地所有者の自主的取組みにマップ活用

 地震や豪雨などの災害が頻発するなか、宅地防災対策を進めるため、国土交通省の大規模盛土造成地防災対策検討会(委員長=二木幹夫・ベターリビングつくば建築試験研究センター総括役)が報告をまとめた。今後の制度改正などの検討のベースとする。

 大規模盛土造成地は、谷や沢を埋めたり、傾斜地盤上に盛土(腹付け)したりして造られた一定規模以上の盛土造成地。地震などにより、盛土の地滑り的変動(滑動崩落)が生じ、造成宅地で崖崩れや土砂流出の被害が発生していることが問題となっている。同検討会は、大規模盛土造成地は事前の対策工事により、人的被害と財産被害の防止・軽減をし、復旧にかかるコストも低減できると位置付ける。特に復旧コストは、事後復旧と比べて約3割の事業費削減が可能と試算した。また、宅地所有者などが事前対策として自主的な取り組みを促進することも重要と盛り込んだ。

 宅地所有者による自主的な取り組みとしては、▽日常的な盛土の変状の監視や擁壁の点検▽簡易な地盤調査の実施▽居住地選択等の際に大規模盛土造成地マップの情報を参考にする-などを報告書は挙げている。大規模盛土造成地マップは、3000㎡以上の大規模盛土造成地の場所を示すもので、現在全国の地方自治体が作成中。72%に当たる1326市区町村が公表済みで、19年度中に100%公表を目指している。

 マップ公表後、大規模盛土造成地の安全性の把握と対策工事を計画的に進める。また、民間主体の安全性の把握を推進するため、地盤に関する民間専門家組織や住民と連携したモデル的な取り組みも始める。まず札幌市で地盤品質判定士会などが協力し、大規模盛土造成地の防災相談窓口の機能強化を今夏に実施予定。

2020.03.19