
新型肺炎で訪日消費額4920億円減に
―三井住友T研が試算、訪日311万人減
三井住友トラスト基礎研究所は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、20年の訪日外国人客数が311万人減少し、それに伴う消費額の落ち込みは約4920億円に上るとの試算を公表した。SARSが流行した03年のデータを基に、同程度の影響があったと仮定して算出したもの。ただし、SARS流行時と比べて、今回は各国で大幅な移動制限を行っており、インバウンドへの影響はSARS以上になる可能性が高いとした。
新型肺炎が発生しなかった場合の20年の訪日客数を3619万人と予測し、新型肺炎によりその8.6%に当たる311万人が減少すると試算。各国ごとの影響をみると、中国は未発生の場合に累計1160万人で新型肺炎により135万人減少、香港は未発生の場合に累計273万人で新型肺炎により21万人減少、台湾は未発生の場合に累計549万人で新型肺炎により43万人減少、韓国は未発生の場合に累計502万人で新型肺炎により25万人減少、シンガポールは未発生の場合に累計57万人で新型肺炎により4万人減少、その他の国・地域では未発生の場合に累計1079万人で新型肺炎により83万人減少と予測した。中国人旅行者のピークは、1~2月の春節休暇よりも7~8月の夏休みシーズンで、新型肺炎の影響が7月以降まで長期化すれば観光産業に大きな打撃を与えるとした。
また、SARS流行時は、海外旅行では大幅で持続的な低下がみられたが、国内で感染者が出なかったため、国内旅行に目立った影響はなかった。一方、今回は国内旅行においても海外旅行と同様のインパクトが生じる可能性を指摘した。
2020.03.13