建て替えや敷地売却の決議要件緩和を

―規制改革会議、老朽化マンション焦点に

 政府の規制改革推進会議は4日、投資等ワーキンググループの第8回会合を開き、老朽化マンションの再生を議題として取り上げた。戎正晴・弁護士が説明者として出席し、マンションを建て替える場合などの「5分の4以上」の決議要件について緩和を求めた。  戎氏は、このほど国会に提出されたマンション建替え円滑化法の改正案に言及。同法案は、耐震性があっても外壁の剥落など老朽化が進んだマンションに敷地売却制度を認めること、老朽化マンションを含む団地で敷地分割制度を創設することなどを盛り込んでおり、改正は大きな一歩と戎氏は評価した。

 一方で、建て替えや敷地売却に必要な5分の4以上の同意という決議要件は、ハードルが高いとして緩和を求めた。また、決議の不参加者の取り扱いを今後の課題の一つとして提示した。建て替えなどの決議に参加しない人は、「反対」として取り扱われる。高齢化や空き家問題を背景に、今後決議の不参加者は増加が見込まれるため、早期の対応策検討を求めた。

 規制改革推進会議投資等WGは、これまでも老朽化マンションの再生を議題にしてきた。1月30日の第5回では、不動産協会らが出席した。不動協は、建て替えで容積率の割り増しを受けるためにデベロッパーが総合設計制度を活用していることを説明。しかし自治体によって壁面後退などの要件があり、割り増しが受けられないことがあるとして、運用の柔軟化を求めた。

 次回は3月末頃をメドに、国土交通省、法務省を招きヒアリングを行う。老朽化マンションの再生についての議論のとりまとめは、毎年6月に内閣総理大臣に出す規制改革推進会議の答申に盛り込まれる予定。

2020.03.13