未来投資会議、建物外壁検査の規制改革

―マンションなど、ドローンの代替可能に

 政府は14日、未来投資会議の構造改革徹底推進会合「デジタル技術の社会実装を踏まえた規制の精緻化」の初回会合を開いた。未来投資会議で方針が打ち出されていた建築分野の内容「建築物の外壁の定期調査」などについて、国土交通省住宅局がプレゼンを実施。改めて今後の実証実験や方向性が示された。

 建築基準法は、一定の規模・用途の建築物について、所有者に定期的な検査とその結果報告を義務付けている。劇場や商業施設、病院、老人ホーム、一部のマンションは、外壁タイルの全面打診(地上からの赤外線装置による方法でも可)による検査が10年に1度の頻度で必要となる。

 規制改革として、デジタル技術の導入が検討されているのは、外壁検査でのドローン活用。国交省が行った検証によると、外壁検査での劣化タイル検出率は、従来のテストハンマーによる打診法が73.62%、赤外線地上設置型が74.26%だった。赤外線装置をドローンに搭載した方法では40%未満となり、信頼性が従来方法に満たないことが分かった。国交省は今後、実証実験を通じて、従来方法と同等の精度をもつドローンによる調査を、定期報告制度に位置付ける方針。

 専門家による試算では、赤外線装置搭載のドローンでRC造11階建て・外壁面積3000㎡のマンションの外壁を検査する場合、ドローンによる検査では約4割コストが削減される可能性があると分かった。国交省は、作業時間も従来の約1週間がドローンでは数日間程度に短縮できるとみている。未来投資会議は、建築分野でこのほか、エレベーターのロープの摩耗点検でのセンサーによる検査導入も示している。

2020.02.28