
法務省、不動産業界5団体にヒアリング
―相続登記の義務化に登免税軽減など要望
法務省は、所有者不明土地の発生防止策について、不動産業界団体からヒアリングを行った。18日に行われた法制審議会民法・不動産登記法部会(第12回)では、全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)など5団体が、同部会の方向性に基本賛成の意を表した。 所有者不明土地問題の解決のため、同部会は民法と不動産登記法の見直しの議論を進めてきた。昨年12月に改正の方向性を示した「中間試案」を策定。土地所有権の放棄制度創設、隣地が所有者不明だった場合の課題解決を目指した相隣関係の見直し、相続登記の義務化、共有関係の解消などが盛り込まれている。
全宅連は、相続登記の義務化に関して「時限的に登録免許税の軽減措置などの施策が必要ではないか」と、義務化を促すインセンティブを求めた。創設予定の所有者不明土地管理制度には、土地管理人の資格者として宅地建物取引士の活用を検討することも求めた。全日本不動産協会は、土地所有権の放棄制度に言及。土地所有者には放棄のための審査手数料など一定の費用負担が示されたことから、「費用的な面で放棄できなくなるようなことがないようにして欲しい」と、費用が高くなり過ぎないよう求めた。日本不動産鑑定士協会連合会は、土地の共有者が所在不明だった場合の共有関係の解消に対し、時価算定で「不動産鑑定士による鑑定評価の実施を義務付けるべき」と主張した。
このほか全国住宅産業協会、不動産協会が参加した。中間試案については、3月10日までパブリックコメントを募集中。次回3月17日の会合で、パブコメの結果を報告する。法務省は秋の開催が想定される臨時国会での改正法案提出を目指す。
2020.02.28