国交省、住宅政策の居住者視点を深掘り

―賃貸の修繕積立金の即時経費化求める声

 国土交通省は16日、次期住生活基本計画を議論する社会資本整備審議会住宅宅地分科会の勉強会を開催した。個別の論点について深掘りし課題を整理するもので、今回は第2回。前回のストックの視点に続き、今回は「居住者の視点」をテーマに有識者がプレゼンテーションを行った。

 全国賃貸住宅経営者協会連合会(ちんたい協会)の三好修会長は、単身高齢者の孤独死が毎年増加傾向にあるなか、住戸に残される残置物の処理や、原状回復費用の負担などが家主の大きな悩みになっていることを指摘。また、分譲マンションを賃貸で活用した場合に、管理組合に納める修繕積立金は費用扱いできるが、家主所有の賃貸住宅の場合、将来の修繕のために積立てしても即時に費用にはできない。費用化のタイミングは実際に修繕が行われた時であり、この取り扱いの差について三好会長は「賃貸住宅もいろいろなことに活用していこうとするのであれば、長期で活用できるようにするための仕組みを作ってほしい」と、賃貸物件での修繕積立金の経費扱いを求めた。

 生活困窮者支援を行うNPO法人抱樸(ほうぼく)の奥田知志理事長は「若いころに安定的な職業が獲得できないことが安定的な居住が確保できないことにつながっている。若い方への就業支援と絡めた住宅支援がこれから必要だ」と指摘した。このほか、NPO法人子育てひろば全国連絡協議会の奥田千鶴子理事長は子育て支援拠点の現状と課題について、日本社会事業大学専門職大学院の井上由起子教授はサービス付き高齢者向け住宅についてプレゼンを行った。次回の分科会で居住者視点の論点をまとめる方針。

2020.01.24