東京の住宅流通市場、6・7月は回復基調が鮮明に
外出自粛制限で動きが無かった東京の住宅の売買市場。しかし3月から5月を底に、6月以降は買い手の動きが復活、その動きは夏に入って活発化している。東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の中古マンション市場動向によると、7月の首都圏の中古マンションの成約件数は5カ月連続で前年同月割れとなった。ただしその減少率は前年同月比2.4%という水準まで改善した。流通市場の実態としては、レインズのデータベース掲載前に成約するケースがあることから、プラスに転じていると考えていい。不動産流通会社にヒアリングをすると、7月単月でプラスに転じた業者もあるようだ。はっきりと業績回復傾向がみられるのが戸建て分譲業者だ。東京城南地区を中心に戸建て分譲を行っている事業者によると、3、4月に販売が落ちたものの、6、7月に掛けて回復。いまのユーザーは、在宅勤務と休校の拡大で自宅のグレードアップに関心が向くようになった層だ。テレワークを経験して、仕事部屋付きの広い部屋を持ちたくなったという動機で家を買いに来た若いファミリー、カップル層が増えた。
そしてコロナによる経済先行き不安も住宅購入を後押ししている。もともと住宅購入を考えていたが、コロナで就労スペース付きの広い家が必要になり、どうせ買うなら早く買おうという需要が生じた(=購入のタイミングが前倒しになった)側面もある。売り手優位で市場から販売物件が枯渇している。レインズデータをみると、新規の売り出し物件数の減少傾向が続いている。新規登録物件数は昨年9月から11カ月連続の前年割れが続いている。流通業者に聞くと、売主が慎重でなかなか売却物件が出てこない、という声もあるが、市場の過熱感からレインズの掲載前に客付けができてしまうことや、不動産会社が転売のため自ら購入するケースも普通になっている。こうした買い手側が過熱している市場環境が、仲介市場に物件が出回ってこないことに繋がっている。
2020.08.28