
私募ファンド市場は19.2兆円に拡大
~三井住友トラスト基礎研の調査から~
三井住友トラスト基礎研究所がまとめた調査によると、2019年6月末時点の不動産私募ファンド市場規模(運用資産額ベース)は推計19.2兆円だった。前回調査の2018年12月末時点と比べ約1兆4800億円増加し、近年ゆるやかに増加している市場規模の拡大ペースが加速し、過去最大規模となった。運用資産額が増加した運用会社数が減少した会社数を上回り、全体として約8.4%増加した。私募リートの銘柄数および資産規模ともに増加しているが、私募ファンドのみを運用する運用会社の集計でも資産規模は増加しており、私募リート、私募ファンドの両輪により市場規模が拡大していることがわかった。上半期の物件の売買状況をみると、物件取得を行った運用会社が7割超となる一方、物件売却を行った運用会社が4割強に減少した。運用期間が長期化傾向にあり、オープンエンドファンドで保有する物件が増加する中で、私募ファンド運用会社による物件売却は今後減少していくことが予想される、としている。同調査は年2回アンケート方式で実施し、51社の不動産運用会社から回答を得た。現在運用する私募ファンドにおいて、海外投資家からの資金を運用しているか否かについて、「運用している」が58%とやや増加。運用中のファンドの概要は、ファンドタイプ別では「オープンエンドファンド」の割合が23%とやや高くなったほか、運用スタイル別では「コア」が69%で最も多く、「開発型」も10%であり、2018年7月調査以降、3階連続して10%以上。投資適格物件の供給が依然として少ない状況が続く中で、開発型ファンドに対する投資家ニーズが一定程度ある。投資対象のプロパティタイプは「オフィス」と「住宅」が最大で20%、次いで「物流」が19%。投資対象エリアは、2015年1月調査以降、投資割合が同水準で推移しており、エリア分散投資が定着している。
運用中ファンドの平均LTVが低下基調となる一方、今後1年以内に組成予定のファンドは上昇基調。クローズドエンドが組成の中心となり、レンダーからの資金調達環境が良好であることから、LTVが高めに設定されている。「60%以上70%未満」の回答比率が33%から67%に増え、「80%以上」も8%から22%に増えた。エクイティ資金の調達状況は、エクイティ投資家の投資意欲は「変化はない」が83%を占め、「高くなってきている」は17%。投資意欲があっても投資実行が困難な状況が長期にわたり継続している中で、エクイティ投資家の投資意欲は特段変化がないと考える運用会社が多い。投資意欲をプロパティタイプ別に聞いたところ、海外投資家で「増加」の回答が多かったのは「住宅」で2015年1月調査以降最も多かった「ホテル」を上回った。訪日外国人の急増等を背景に東京。大阪を中心にホテル開発の動きが加速したが、マーケットに供給過剰感が広がったことで、これまで積極的だった「ホテル」への投資に慎重姿勢を見せる投資家が増加していると推察される、とした。
2019年1~6月の物件取得・売却状況を聞いたところ、「取得した」が71%にのぼり、引き続き高い水準を維持。物件取得に至らなかった理由では、「価格目線が合わなかった」との割合が56%。物件を取得しなかった運用会社のうち73%が、価格目線の乖離と取得競合を理由として挙げており、不動産価格の高騰を背景に物件取得が困難な状況が継続している。
今後1年以内のファンド組成に関する調査では、67%が組成する予定と回答し横ばい。1年以内の物件売買予定は、84%が「取得予定あり」とし、安定的なキャッシュフローが見込めることを理由に挙げている。一方「売却予定あり」は57%。「価格目線が合うようになった」、「ローン期限またはファンド期限を迎えるファンドがある」が最も多く、依然として売り手市場にあることがうかがえる。
2019.11.1