
JLL、ブロックチェーンの実装実験
―三井信託銀らと不動産市場の透明化で
ジョーンズラングラサール(JLL)は、三井住友信託銀行らとともにブロックチェーン技術を不動産取引に実装するための実証実験を始めた。オフィスビルやマンションなど賃貸不動産の入退去や収支の情報をブロックチェーン技術で管理する独自の基盤を作る試み。実現すれば不動産の所有や管理、売買、投融資にかかわる手続きや情報管理の透明性が大きく高まる可能性がある。
複数の権利者が情報を共同管理するブロックチェーン技術で不動産情報を公正に扱う仕組みを整える。三井住友信託銀行は1月から4月にかけ、不動産の所有者情報やテナントの入退去履歴、収益状況(賃料)、耐震化の有無などといった情報をブロックチェーン技術で記録する最初の実証実験を実施。第三者による改ざんが困難な形で情報を記録する仕組みを作れるとの結論を得た。
第2弾の実験では最適な事業手法や技術的課題などを検討する。具体的には、不動産の収支や建物の情報などを仮のシステムに記録し、情報漏洩の有無などを検証する。時系列に蓄積した不動産情報を円滑に引き出せるかなども試す。新たに構築する基盤にはIoTや機械学習も取り入れ、不動産の所有者や投資家が最適な売却・投資の時期を見極めるのを手助けする。
実験にはほかに大手電機メーカーやIoT企業などが参画している模様。JLLによると、日本の不動産取引市場に占める海外投資の割合は4割弱程度と欧米などに比べ低い。海外から投資を呼び込む上で物件価格や売買・賃貸履歴、不動産登記データなどの透明性を高める仕組み作りが急務になっている。
2019.09.20