ESG不動産投資の情報開示に見本示す

―国交省、地方公的不動産のFTKも拡大

 国土交通省は、日本の不動産投資のESG対応を進めるため、20年度にESGに関する情報開示ガイダンスを策定する。TCFD(金融安定理事会によって設立された気候変動関連財務情報開示タスクフォースが策定した情報開示基準)にも対応したものとするため、その専門家も交えた策定検討会を立ち上げる方針。  投資家が環境・社会・ガバナンス(ESG)への配慮を重視する動きが欧米諸国を中心に拡大している。

一方で日本ではESGの観点での不動産評価が不十分な状態にある。そこでどのような情報を開示すれば良いか、具体的イメージをガイダンスで示す。海外での先進事例を調査しつつ、望ましい情報の示し方、推奨する開示ポイントを盛り込む。国交省は、リートの資産運用会社に求められる宅建業法の「取引一任代理等」の認可や、不動産特定共同事業者の許可といった認可業務などにも情報開示ガイダンスを活用する考え。

 また、不動産証券化を地方の公的不動産などで活用する事例を増やし、地方創生を図る。地方自治体が所有する不動産で不動産特定共同事業(FTK)が活用された事例には、代表例として、石川県小松市所有の小松駅前の百貨店跡地で官民複合施設を整備した事例がある。しかし地方自治体にはFTKに関するノウハウや人材が不足しているため、活用事例はまだ少ない。そこで、地方自治体と地域事業者・地域金融機関が参加するブロック会議を全国10ブロックで実施する。関係者のネットワーク構築により、案件形成を促す。

 20年度概算要求で、ESG投資等の動向を踏まえた不動産投資市場の環境整備に3000万円、不動産証券化手法を活用した地域振興のためのネットワーク形成促進に4000万円を要求している。

2019.09.20