地方300カ所の地価動向を定期発信へ

─国交省、海外投資家の地方投資を促進

 国土交通省は、地方の地価動向の情報発信を強化する。投資先が大都市圏に限られている海外投資家の目を地方にも向けてもらい、投資を呼び込むのが狙い。投資判断に役立つ情報を整理し、四半期ごとに発表する。県庁所在地やリゾート地など、300カ所の情報発信を目指す。

 20年度概算要求で「地方への投資促進に向けた地価情報等の発信強化」として、新規で4000万円を要求した。公表地点は、地価公示などで目立つ動きがみられた地点を中心に選定する。県庁所在地のほか、倶知安や熱海、白馬など上昇が目立つリゾート地も多数選定する予定。地価動向の四半期ごとの情報には「地価LOOKレポート」があるが、地価LOOKは都市部の100地点が対象。地価LOOKの地方版のイメージで、英語版も同時に発表し、海外投資家の呼び水とする。地価動向のほか、土地取引件数や取引価格、取引利回り、インバウンドの動向なども反映させる。

 地価は全国的に回復傾向にある。一方で、海外投資家の日本の不動産への投資は、Jリートが物件を保有している東京・大阪・名古屋の三大都市圏が中心であり、地方圏への投資は伸び悩んでいる。ジョーンズラングラサールによると、18年における海外投資家の地域別投資額の割合は、東京5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)が38%で最も多く、次いで東京都を除く東京圏が20%、大阪圏17%、福岡圏5%、名古屋圏2%、その他7%だった。

 地方の地価動向をタイムリーに発信し、海外投資家の投資を誘導できれば、地方経済の活性化につながる可能性もある。

2019.09.13