
国交省、既存住宅流通量の指数を作成
─新たなマクロ指標、来年度から公表へ
国土交通省は、独自に既存住宅流通量を把握し、新たな指標にして公表する。今後の不動産市場の更なる分析を進めるためのマクロ指標と位置付ける。法務省の登記データをもとに既存住宅流通量を算出。一時点からの流通量の増減が分かる指数を作成する。指数は来年度中にも公表する。
3日、「不動産市場のマクロ・ミクロ的な分析向上に向けた研究会」(座長=清水千弘・日本大学スポーツ科学部教授)の初会合を開催。新指標のベースとなる既存住宅流通量は、「建物の売買による所有権移転登記データのうち、個人取得の住宅で、既存住宅取引ではないものを除いたもの」と定義した。既存住宅取引ではないものは、新築建物の売買、分割登記、複数回所有権移転が頻繁に起きているもの、面積的に居宅とは考えにくいもの、オーナーチェンジ物件、アパートの一棟売買。別荘やセカンドハウス、一定期間保有される投資用物件などは既存住宅取引に含める。
登記データ以外の既存住宅関係の公的データには、総務省の「住宅・土地統計調査」があるが、5年に1度の公表で即時性に欠ける。また、別荘などは含まれていない。民間データの「FRK既存住宅流通推計量」(不動産流通経営協会)は年次の公表で、法人取得の住宅が含まれる。国交省は12年から住宅の「不動産取引価格指数」を発表してきたが、市場分析には価格だけでなく流通量が必要と判断。新指標は月次の公表を目指し、独自に流通量整理を行うこととした。
研究会は次回会合(20年2月)には指標の大枠を定める。住宅の賃料動向も研究するほか、地域の不動産の需給データを把握するワーキンググループも行う。
2019.09.13