
国交省、ウォーカブル推進都市を展開へ
—ストリートデザインで指針、自治体募る
国土交通省は、「居心地が良く歩きたくなるまちなか」の全国展開を進める。8月29日に「ストリートデザイン懇談会」(座長=岸井隆幸・日本大学特任教授)を初開催。歩きたくなる=ウォーカブルなまちの具体化支援のため、これからの街路空間(ストリート)の使い方・作り方を示すガイドライン作りに着手した。
ニューヨークのタイムズスクエアの車道が歩行者天国となったり、パリのエッフェル塔周辺でも車道を緑地広場にする計画が進行するなど、世界で都市の「ウォークシフト」が進む。それに伴い、ストリートの機能が従来の交通のみを重視した「リンク」から、座る・観光するなど滞在自体が目的となる「プレイス」へと変化している。
ガイドライン作りにあたり懇談会では、街路空間を中心に周辺の広場や公開空地、沿道の建物も含めたストリートのあり方を議論する。周辺環境を踏まえた望ましいストリートのデザインを示すため、休憩空間のために必要な設えとその配置、交通機能を損なわないための交通再配分の考え方も論点としている。ガイドラインは主に地方自治体向けとなるが、まちに変化を起こしてそれを継続させるにはバラエティに富んだメンバーがプロジェクトには必要と盛り込む方針。
前身の「都市の多様性とイノベーションの創出に関する懇談会」は、6月の報告書で、これからの都市再生のキーワードを「居心地が良く歩きたくなるまちなか」と掲げた。賛同する地方自治体を募り、「ウォーカブル推進都市」としてともに取り組む。ウォーカブル推進都市について、北村知久・都市局長は「現在160余りの都市から手が挙がっている」と話す。
2019.09.06