
国交省、新たな総合的土地政策を策定へ
―委員から外国人の土地所有に懸念の声
国土交通省は7月24日、土地に関する総合的施策を審議する国土審議会土地政策分科会企画部会(部会長=中井検裕・東京工業大学大学院教授)を約2年ぶりに再開し、「新たな総合的土地政策」の策定に向けて動き出した。来年の土地基本法の改正を見据え、人口減少社会に対応した土地政策の全体像を再構築する。
土地所有に関する基本制度を定める土地基本法は、バブル期の89年に制定された。背景にあったのは土地の投機的取引の抑制であり、土地を積極的に利用しない場合は未想定だった。所有者不明土地の増加が社会問題となるなか、来年の改正では、土地所有者の責務に「管理の確保」を加える方針を国交省は示している。管理には登記と境界の明確化も含まれる。国土調査法も改正し、所有者不明の場合でも地籍調査(土地の地番、地目、境界の位置と面積等の調査で、現行では所有者の立ち合いが必要)が実施できるようにする。
24日の会合では、法改正の方向性や最近の土地関連施策を振り返りつつ、委員らが意見交換を行った。テクノロジーが進化する一方、お金の流れが分からなくなる事件が起きていることから、「次の段階で所有者が誰か分からなくなることが出てくるのではないか。お金は海外からもくる。日本は誰が不動産を所有してもいいが、今の形でいいのか、予防も含めて整理していく必要がある」といった意見や、「(土地が)知らない間に日本人でない方々の手に渡った場合が非常に懸念。しかるべき法体系の整備の議論を」など、外国人の土地所有について議論を求める声があった。
次回は9月に開催予定。改正後の土地基本法における基本的施策と、優先的に取り組むべき施策を年内にまとめる。
2019.08.02