
国交省、宅建業者にハザードM提示要請
―取引成立前に、業法改正にはあたらず
国土交通省は、宅地建物取引業者に対し、不動産取引でハザードマップを提示するよう要請した。契約が成立するまでの間にハザードマップを提示することで、取引の相手方に水害リスクを認識してもらう。不動産業界団体5団体に依頼文書とQ&Aを発信した。
ハザードマップの提示対象は、売買取引の買主を想定する。Q&Aでは、市町村が作成・公表する水害(洪水・内水・高潮)ハザードマップを見せ、物件の位置を示すことを求める。併せて、マップに記載があれば最寄りの避難所の位置や、物件周辺で想定される浸水深についても情報提供する。国交省は、都道府県に対しても、宅建業者から水害ハザードマップの入手方法や内容に問い合わせがあった場合に適切な対応をするよう協力を求めている。取引相手にハザードマップの内容について詳細を問われた場合、宅建業者は市町村に問い合わせるよう案内して差し支えない。
この要請は、全国知事会の動きを受けたもの。7月に同会は「来たるべき大規模災害に備え教訓に基づき行動するための提言」をまとめた。提言は、18年7月の豪雨災害の反省から、住民の命を守る方策のひとつに「宅建業法を改正し、ハザードマップの説明を住宅購入者等へ説明が義務付けられる重要事項として位置付けること」を盛り込んでいる。
ただ、ハザードマップは市町村ごとに種類や書式が異なることから、国交省は団体への要請以上の対応については現時点では慎重姿勢だ。また、仮に水害のハザードマップを重説に加えるとしても「宅建業法改正ではなく省令改正での対応になる」(土地・建設産業局不動産業課)としている。
2019.08.16