
大手賃貸住宅事業者に高度化指針求める
─国交省、レオ社事案など受け再発防止策
国土交通省は、レオパレス21と大和ハウス工業の賃貸共同住宅の不適合事案を受けて、再発防止策をまとめた。年間1000戸以上を供給する大手賃貸共同住宅事業者に対して、「品質管理の高度化指針」を策定し、対応するよう指導する方針だ。
同省の「共同住宅の建築時の品質管理のあり方に関する検討会」(委員長=秋山哲一・東洋大学教授)が議論のとりまとめを行い、提言として対策をまとめた。レオ社のように一定程度規格化された賃貸共同住宅を多数供給する事業者に不適合事案が発生すると、多大な社会的影響を及ぼす恐れがある。そこで、一定程度規格化された賃貸共同住宅を、目安として年間1000戸以上供給する事業者に対し、「品質管理の高度化指針」を策定する。指針には、共通規格を決める段階での法適合確認を商品企画部門とそれ以外の技術部門がダブルチェックを行うことなどを盛り込む。
建築基準法の中間検査・完了検査の強化も再発防止策に盛り込まれた。中間検査と完了検査で、目視や工事写真の確認を通じて、設計図書の通り工事が実施されたものか確認する。中間検査は、3階以上のRC造の共同住宅には義務付けられているが、その他の構造は特定行政庁に検査を実施する工程の指定が委ねられている。47都道府県のうち、38団体は木造または鉄骨造の3階建て賃貸住宅にも工程指定を行い、中間検査を実施しているが、地方の9団体は同様の構造の賃貸住宅は中間検査を実施していない。9団体に積極的に工程指定を行い、中間検査を実施するよう要請する。今回示された再発防止策は、中間検査・完了検査の強化など一部に省令(施行規則)対応となるとみられるものがあるが、法改正を要するものはない。
2019.08.16