
官民データ活用で、不動産情報の整備へ
―国交省、研究会で手法検討・モデル確立
国土交通省は、不動産市場を適切に把握するためには、官民のデータを活用した不動産情報の更なる整備が必要として、研究会を立ち上げ、その手法などを検討していく。情報の整備により、既存住宅流通量の動向や賃料動向の把握を目指す。地域のよりミクロなデータから、不動産市場を面的に把握していく手法も検討し、年度内にもモデルケースを確立させたい考え。
国交省は8月2日、「第11回不動産投資市場政策懇談会」(座長=田村幸太郎・牛島総合法律事務所弁護士)を開き、「不動産市場のマクロ・ミクロ的な分析向上に向けた研究会」と、その下に「地域の不動産市場の面的把握ワーキンググループ」の設置を決めた。研究会は9月頃と来年2月頃の計2回開催する予定。官民データを使って形態別に動向を分析し、流通量の動向や住宅に関する賃料の動向の把握をするための、手法や留意点などを研究する。また、少子高齢化やオリンピック後の状況を踏まえ、地域単位での動向の把握も求められるとし、地域でのデータ整備の手法の確立を目指す。
懇談会では、ESG投資や仮想通貨に代表される取引手法の多様化などの環境変化を踏まえた今後の課題について議論。テーマには、不動産市場を計る情報整備や、ブロックチェーン技術の活用、ESG投資推進に向けた課題を挙げた。ESG投資ではリートや不動産特定共同事業において、再生可能エネルギー設備に関する活動を、投資や取引の中でどう位置付けるかなどについて、委員の自由闊達な論議を求めた。委員からは、不動産情報の整備に関して、「民間を含め多くのデータがある中で、国の関与の仕方を強弱つけて整理すべき」などの意見が挙がった。
2019.08.16