
業界、買換特例延長や百万円控除を評価
来年度の与党税制改正大綱では、不動産業界が要望した主要項目はすべて認められた。業界団体の各トップは今回の措置を評価し、次の通りコメントを発表した。
菰田正信・不動産協会理事長 最重点要望と位置付けていた「長期保有土地等に係る事業用資産の買換え特例」の延長が認められた。世界経済の先行きの不透明感が増し、製造業を中心に企業の景況感が弱含む中、安定的な設備投資を促進し、成長力強化に資するものである。また、「新築住宅に係る固定資産税の軽減特例」「居住用財産の買換え・売却に伴う特例」や「国家戦略特区に係る特例」をはじめ、都市、住宅、土地等に係るその他の主要な要望についても延長等が認められた。都市の国際競争力の一段の強化に向けたビジネス環境整備や防災性能の向上、多様なニーズに対応した質の高い良好な住宅ストックの形成等に資するものであり、評価している。今回の税制改正を踏まえ、当協会としても、引き続き、時代を先取りした魅力的なまちづくりの推進と豊かな住生活の実現を通じて、日本経済の持続的な成長に貢献して参りたい。
木村惠司・日本ビルヂング協会連合会会長 当連合会が要望していた特定の事業用資産に係る買換え特例ほかの特例措置の延長が認められたこと、また、居心地が良く歩きたくなるまちなか創出のための固定資産税等の特例措置が創設されたことを評価したい。当連合会は、都市再生・地方創生、まちの魅力の向上や、都市の安全・安心性強化などに引き続き努めていく所存である。
原嶋和利・全日本不動産協会理事長 本会が以前より地方圏の不動産流通の活性化のため長期譲渡所得の100万円控除を要望していた中で、近年の空き家・所有者不明土地の問題に対する抑制に資するよう、低未利用物件・低額物件に係る長期譲渡所得における特例措置が創設された。そのほか、登録免許税や不動産取得税の軽減措置など、住宅・不動産関連の延長と拡充について、本会からの主要な要望が認められた。
坂本久・全国宅地建物取引業協会連合会会長 最大の目玉は「低未利用地を譲渡した場合の100万円控除」の創設。我々の永年の悲願であったが、これまでは改正議論の俎上に載せることさえ叶わなかった。それでも一貫して現場の声を受け止め、制度の必要性を訴え続けた結果、今回このような新たな政策税制として実現することができた。誠に喜ばしい限りであり、これまでの生みの苦しみを思うと感極まりない。
山代裕彦・不動産流通経営協会理事長 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の特例や特定の事業用資産の買換えの特例など、来年度に期限切れとなる各種特例措置が延長されたことは、現下の堅調な不動産取引を下支えし、市場活性化を後押しするものと評価する。また、低未利用地の適切な利用・管理を促進するための特例措置が創設されたことは、土地の有効活用を通じた投資の促進、地域活性化に繋がるものと期待する。
杉山博孝・不動産証券化協会会長 当協会が要望した「特定の事業用資産に係る買換え特例措置の延長」や「投資法人等の外国子会社合算税制適用時における二重課税調整措置の導入」等が講じられた。これらは不動産取引の活性化や都市および地域の再生、アウトバウンド投資の拡大等による不動産投資市場の成長に寄与するものであり、高く評価したい。20年東京オリンピック・パラリンピック開催以降も我が国の不動産投資市場が持続的に成長し、グローバルな市場として確固たる地位を築けるよう不動産投資市場の拡大に資する環境整備に対して一層使命感を持って取り組む。
2019.12.20