
所有者不明土地、相続登記義務化で防止
─一部共有者での売却など、法務省検討
自民党の所有者不明土地等に関する特命委員会(野田毅委員長)は12月4日の会合で、所有者不明土地対策の検討状況を確認した。相続登記の義務化、土地所有権の放棄、民法の共有制度の見直しなど、20年中の関連法改正案の提出に向けて動き出す政策が示された。
法務省が、法制審議会民法・不動産登記法部会で審議中の所有者不明土地の発生予防策と利用策を報告。発生予防策として、相続登記の義務化や土地所有権の放棄などを挙げた。相続人が登記申請する際の負担軽減のため、自らが法定相続人と申し出れば簡易に登記できる「相続人申告登記制度」を新設する。また、被相続人の所有不動産を相続人が把握できない問題にも対応し、「所有不動産目録証明制度」を新設する。
土地所有権の放棄も一定要件のもと認める。土地の権利に争いがなく筆界が特定されていることや、所有者以外に土地を占有する者がいないこと、土地の管理が容易(崖地や土壌汚染地などを除外)なことなどが要件となる。不動産業者を通じた売却を試みてもなお、譲渡することができないことも要件とした。民法の共有制度も見直す。土地の共有者のうち、一部が不明で同意が得られない場合、土地の利用や処分が困難になる。そこで不明共有者の持分の相当額を供託することで共有関係を解消し、利用・処分を可能とする制度を設ける。
同日開催された税制調査会小委員会のマル政審議でも、所有者不明土地の税務上の課題が焦点となった。土地所有者が不明でも使用者がいる場合、使用者に固定資産税を課す仕組みの創設について、多くの議員から「税の公平性を保つうえで必要」と声が挙がった。
2019.12.13