共同住宅の省エネ評価方法を簡素化へ

─国交省ら、共用部除外・タワマンは配慮

 マンションなど共同住宅の省エネ評価方法の簡素化に向けて、国土交通省と経済産業省は、一次エネルギー消費量基準の評価で「共用部分は評価しなくても良い」とする方向性を示した。一方で、タワーマンションの取り扱いが今後の課題となっている。
改正建築物省エネ法(5月17日公布)で、「マンション等に係る届出義務制度の審査手続の合理化」を公布後6カ月以内に施行することなった。床面積300㎡以上の住宅は、着工21日前までに行政所管庁に省エネ基準の届出を行う義務がある。しかし、省エネ性能の算定では全住戸・共用部分を個別に計算することが煩雑で、申請側・審査側にとって負担だった。負担軽減により、基準不適合物件への対応強化につなげる。

 住宅の省エネ基準には空調・照明などのエネルギー消費量の合計から創エネ量を引いた一次エネルギー消費量基準と、外皮の表面積当たりの熱の損失量を求める外皮基準がある。共同住宅の外皮基準は従来「住戸ごと計算」としていたが、簡素化のため「住棟全体」での評価を導入する方向。また、共用部で消費されるエネルギーは少ないことから、一次エネ基準評価で共用部分を評価しなくて良いこととする方針を示した。

 しかし一部のタワマンでは、中廊下に空調機器を入れているなど、共用部分のエネルギー消費量が一般的な共同住宅より高いケースがある。共用部分を一次エネ基準の評価から除外すると、省エネ基準を満たさないものが「満たす」とされてしまう可能性がある。タワマンの共用部の省エネ性能評価の簡素化は配慮する必要があるとして、今後具体的措置を検討する。8月8日に開催する両省の次回合同会議で更なる検討を進め、9月上旬~10月上旬にパブコメを実施する予定。

2019.08.02