災害激甚化に対応、ハザード説明義務化も
―住宅各社で蓄電池搭載、街全体の防災など
日々激甚化する災害への対応が官民で急がれている。住宅各社は、自前の技術力を総動員し、防災面で強い住宅・まちづくりに取り組んでいる。 9月に発生した台風15号では、千葉などの被災地で建物の損傷以外に、電気が止まるなどのトラブルが発生した。こうした停電の問題を解決するため、大和ハウス工業が一部の戸建て住宅に、家庭用リチウム蓄電池の搭載を始めている。大和ハが出資する電池ベンチャー、エリーパワーが開発した畜電池を搭載するもの。軽量鉄骨戸建て住宅「ジーヴォ・シグマ」には太陽光発電システムとエネファーム、リチウムイオン蓄電池(5.4kwh)からなる「全天候型3電池連携システム」により、雨天でも約10日間の電力確保を実現する。
こうした技術の応用は街づくり分野にも広がっている。先の大和ハは、神奈川の藤沢で「ジーヴォ・シグマ」114戸からなる戸建て分譲地「セキュレアシティ藤沢 翼の丘」を17年より開発中。防災に関心のある若年層などから支持を受け、50戸超が既に成約している。他には分譲地全体の水害対策まで行ったケースもある。積水化学工業が埼玉県朝霞市で開発中の、戸建て住宅団地「スマートハイムシティ朝霞」(あさかリードタウン)がそれだ。全体的に川傍の低地で、分譲地の一部が浸水エリアに掛かる。そのため川沿いの場所を中心に1.5mの盛り土を行ったうえで開発を行った。なお積水化学はプラスチックメーカーでもある。街区の地下には自社開発した先進的な水道管に加え、雨水貯留管や豪雨時の貯留施設などを設置、排水不全による街の浸水を予防している。こちらも埼玉県の朝霞市ながら、神奈川県横浜市や川崎市など遠方から転居してきた事例もある。
一般的にはハザードマップをよく確認せず購入する消費者は多く、事業者側も積極的に説明しているとは考えにくい。国の動きとしては、売買時の重要事項説明において、事業者が購入者に対し、水害リスクの情報提供を行う方向で検討を進めている。ハザードマップは自治体によって表記の仕方がバラバラであることから、現状では宅建業者に重要事項の説明義務が付されてはいない。ただし今後はハザード情報の規格統一化などを念頭に、宅建業者に説明を義務付けていく考えだ。
2019.11.1