
不動協、リース会計の見直し検討で見解
―パス・スルー型や普通借の特殊性指摘
不動産協会は、企業会計基準委員会(ASBJ)が国際会計基準(IFRS)に合わせて検討している国内リース会計基準の見直しに対する見解を示した。従来はバランスシートに計上していなかった不動産賃貸借を含むオペレーティングリースをどのように資産計上するかが焦点で、不動産会社が賃借人兼転貸人の立場になるパス・スルー型のサブリースなど日本の不動産賃貸借の特殊性を説明し、「作成者サイド(開示企業)に納得感のあるものが望まれる」と指摘した。
パス・スルー型のサブリースについては、再開発ビルなどで不動産会社がマスターレッシーとして地権者分を転貸したり、外部オーナー資産を一括転貸したりする事例を列挙。こうした事例は海外では少なく、IFRSでも「十分な議論がされていないと考えられる」と指摘。「現行処理は取引実態を適切に反映している」とし、「一般のサブリースとは区分した丁寧な議論が望まれる」との見解を提示した。
日本と欧米との相違点も指摘する。欧米ではオフィスの借り手からの解約は契約期間中、原則禁止されている一方、日本では禁止されている借り手の転貸(サブリース)も通常可能。「借り手が対象資産を支配している」というIFRSの基準が欧米の場合だと合致するが、「(商習慣が異なる)日本の不動産賃貸借の考え方にフィットするか議論が必要」と訴える。加えて、普通建物賃貸借の場合、更新や途中解約があるため契約期間の見積もりが難しく、企業ごとに大きな差異が出る可能性にも言及し、「総合的かつ慎重な議論が望まれる」とした。 ASBJはリース会計の見直しで影響を受ける様々な業界団体にヒアリングを行っている。
2019.11.1