国交省、今後の土地政策の全体像を整理

―財務省など関連省庁の取り組みも報告

 国土交通省は7日、20年の土地基本法の改正と、その先の「新たな総合的土地政策」を検討する国土審議会土地政策分科会企画部会を開催した。所有者不明土地対策を含め、今後の土地政策の全体像が整理されたほか、他省庁の最近の取り組みも報告された。

 国交省は、土地基本法の改正で、土地の適正な利用・取引に加え、現在は規定のない所有者による「管理」を明確化する方針。そのうえでこれからの土地政策は、対象の土地を「既に活用されている土地」「低未利用な土地(更に市場価値が高い土地、市場価値が低い土地に分ける)」に分類し、それぞれの管理・利用・取引に対応したものが必要と全体像を整理した。/p>

 財務省は、財政制度等審議会の答申(6月14日)を報告。引き取り手のない不動産に対する国有財産行政の対応として、一定の資産価値があり売却が容易で適切な管理が行われている土地について寄付を可能とする方向で見直しを進めること、相続人がいないと見込まれる者から一定要件のもとで死因贈与契約で不動産を受ける仕組みを設けることを検討中と説明した。

 法務省は所有者不明土地の発生を予防する仕組みの一環で、土地所有権の放棄を認める制度を創設することを検討中。ただ、「土地の放棄は民法に規定がない。放棄を認める要件をどうするのか、引き取り先の負担をどうするのかなど諸課題がある」(民事局民事第二課)と、難易度が高いことを示唆した。  委員からは「財務省の寄付制度の『一定の資産価値』の定義はなにか、また国が土地に資産価値あり・なしを言うのはどうなのか」などの意見が挙がった。同企画部会は次回(11月18日)から、12月下旬を予定する中間とりまとめに向けた議論に入る。

2019.10.25