国交省、不特事業の制度改正へ議論開始

―投資家保護に優れた特例事業を一層活用

 国土交通省は9月27日、「ESG投資を踏まえた不動産特定共同事業等検討会」(座長=田村幸太郎・牛島総合法律事務所弁護士)の初会合を開催した。不動産特定共同事業(FTK)について、更なる投資家保護策を講じるとともに、ESG投資の促進や暗号資産・トークンを使用する場合の体制整備なども議論。20年度前半をメドにFTKの制度改正案をまとめる。

 初回会合では、今後のFTKの適切な規制のあり方について議論した。FTKには、自らのバランスシート上でFTKを行う「1号事業」(FTK以外に他業あり)と、設立したSPCがFTKを行うオフバランス型の「特例事業」がある。1号事業は、他業が理由で事業者が破綻するリスクが存在する。現状は、1号事業者は投資家に他業の業績を説明する義務はない。委員からは、他業の種類を問わず、投資家に他業の情報を開示するようにしてはどうかとの意見があった。

 また、「特例事業の工事への一般投資家の投資制限」は、緩和する方向で議論が進んだ。現在は、工事費が対象不動産の価格の1割を超える事業の場合、特例事業は投資家保護の観点から一般投資家の投資を制限している。1号事業には制限はなく、特例事業を実施しようとする事業者から、この制限の緩和を求める声があった。緩和する場合の要件は今後詰める。

 国交省は、倒産隔離が図られ資金使途も透明化されていることから、特例事業は投資家保護の観点で優れていると考えており、特例事業が一層活用されるよう環境整備を行う方針。7月末時点の特例事業者数は94社で、その事業総額は約3251億円。再開発や改修などの案件も出てきている。

2019.10.04