タワマン電気設備に浸水対策の指針

―国交省、オフィスビルでの活用も想定

 国土交通省と経済産業省は、高層マンションの電気設備に関する浸水対策のガイドラインづくりに着手した。「建築物における電気設備の浸水対策のあり方に関する検討会」(座長=中埜良昭・東京大学生産技術研究所教授)の初会合を開催した。20年3月の完成を目指す。オフィスビルなどでの活用も想定する。

 浸水対策ガイドラインは、「新築時における対策」と「既存ストックの対策」に分ける。新築時は、止水板の設置や盛り土で高さを確保。電気設備を浸水のおそれのない場所に設置したり、水密扉を設置して防水区画を設けたりすることなどを盛り込む方針。既存ストックに対しても基本は同じ。建物や設備の機能の重要度に応じて対策のレベル分けを行い、分かりやすくマトリクス図として整理する方針。水密扉など人の作業が関わるものには対策のタイムラインを示す。

 台風19号で武蔵小杉のタワーマンションが浸水被害に遭い、大規模な停電が起きたことが検討会立ち上げのきっかけとなった。初回会合では、委員から「浸水区域で民間集合住宅以外ではどのような被害があったのか」「浸水のメカニズムを詳細に知りたい」などの声があった。電気設備に浸水対策を実施しているマンションが全国にどれだけあるのかもまだ把握されていない。参考となる取り組み事例を収集し、ガイドラインの付属資料とする。

 防火と耐震については建築基準法に規定があるが、浸水対策の規定はない。ガイドラインには強制力はないが、検討会に参加する業界団体を通じて、デベロッパーやマンション管理会社に広く周知する。

2019.12.06