
上期の売買仲介、28社中18社が手数料増
―大手中心に好調維持、都心部は堅調推移
不動産流通主要28社・グループの20年3月期上半期(19年4~9月)の売買仲介実績によると主要28社中、前年同期と比べ手数料収入が増加したのは18社で、仲介件数は16社、取扱高は20社が伸ばした。前年同期(手数料収入増が11社、仲介件数増が13社、取扱高増が12社)より、全体的に業績が上向いた。リテールは実需を中心に全国的に堅調に推移。首都圏・都心部のほか、札幌や関西圏での活況も目立った。
手数料収入上位4社は3指標全てが前年同期を上回り好調さを維持した。三井不動産リアルティグループはリテール、ホールセールともに売買仲介件数が増加。リテールは全国的に前年を上回り、「とくに札幌、関西エリアが大きく前年を上回った」(同社)。住友不動産販売も好調を維持し「仲介件数と手数料収入ともに過去最高」となった。東急リバブルは、手数料収入は賃貸関連込みでの算出だが、東急不動産ホールディングスの決算資料によると売買仲介の売上が前年同期比7.6%増と拡大した。リテール実需が堅調に伸び、「首都圏以外では、札幌と関西圏が好調だった」(同社)。ホールセールも手数料収入が増加した。野村不動産グループは3指標全て2ケタ増と大幅に拡大した。手数料収入はリテールが13.3%増、ホールセールが8.2%増。リテールが堅調な要因としてウェブ集客の拡大を挙げる。
首都圏は堅調に推移。前年比で好調だったエリアとして、三井不リアルグループが都内の城東エリア、野村不グループが城南エリア、大成有楽不動産販売グループが横浜を挙げた。城南エリアは「価格上昇が落ち着き前年より動いている。活発なのは5000万円台」(野村不動産グループ)。市場を牽引してきた都心部は、数年前から調整局面が囁かれているが、価格は横ばいから微上昇で、依然として流通も堅調なようだ。三井不リアルグループでは、都心高額ブランド店「リアルプラン」エリアの麻布・銀座で単価が上昇。住友不販も「都心のマンションが上半期業績を牽引」とした。「買いの相談が前年より2ケタ増となり、マッチングしやすくなっている。件数も5~10%増加」(リバブル)、「売主は価格で弱気にはなっていないが、買主もついてきており、よく動いている」(野村不グループ)と、好調な市況がうかがえる。一方で、「売主の希望価格が高く、成約まで長期化してきた」(小田急不動産)との指摘も複数社から挙がっている。
2019.11.29