相次ぐ台風・豪雨、不動産選びで自然災害リスクを避けるにはどうしたらいいか

2019年は数々の自然災害が発生した一年だった。関東地方を直撃した台風15号と19号により、多くの住宅が浸水被害に遭ったことは記憶に新しい。不動産を購入する際、自然災害リスクを避けるために注意すべきことは何があるだろうか。

 台風19号における、川崎市・武蔵小杉のタワーマンションの浸水被害は全国的なニュースとなった。武蔵小杉は多摩川にほど近い低地であり、建物内に侵入した水の排出が追いつかなかった。建物内の電気設備は低層階にあり、大規模な停電も発生し、エレベーターの作動が停止した。マンション住民は住戸内のトイレが使用できなくなったり、階段での移動を強いられた。こうした事態を受けて、国はマンションの安全対策として新たな指針づくりを始めている。国土交通省と経済産業省の合同検討組織が20年3月の完成をめざして、「高層マンションの電気設備に関する浸水対策のガイドライン」(浸水対策ガイドライン)づくりに着手した。

 このガイドラインは高層マンションの新築時点における浸水対策のあり方と、既に建っているものの浸水対策の2つからなり、新築については、止水板の設置や、盛土による高さの確保といった基本的な項目に加え、電気設備を地下や1階といった浸水の恐れのある場所に設置するのではなく、2階以上に置いたり、水密扉を設けて電気設備を防水区画化することなどが盛り込まれるものとみられる。ただし、これはあくまでガイドラインであり、開発業者や仲介業者が必ずしも守るとは限らない。そのため購入する側は、検討中のマンションがガイドラインの水準に適合しているのかどうか、自ら確認するようにしたい。たとえば低地で浸水被害がありそうな場所のマンションならば、止水板、非常用発電設備、雨水貯留槽や一時避難施設などがあるのかどうか、しっかり確認を行う作業が発生するだろう。

 不動産を購入する場合は、前提としてその不動産の位置がハザードマップ上に位置するのかどうか、確認することが求められる。ハザード情報は自治体のホームページで公開されており、検索エンジンで「自治体名 ハザードマップ」と入力すれば大抵ヒットする。川崎市では「洪水ハザードマップ」、「土砂災害ハザードマップ」、「津波ハザードマップ」―の3つのハザード情報を公開している。ただしハザードマップの情報は、自治体によって地図の縮尺や浸水域などの表記の仕方が異なり、全国一律のルールはない。内容には統一性が欠けているため、まずハザード情報を自分の目で確認したうえで、少しでも不明な点があれば、自治体の担当部局に問い合わせをする必要があるだろう。

 実際の不動産取引では、宅建業者が重要事項説明の際に、ハザードマップをはじめとする危険性の情報について説明が行われると考えがちだ。ただし「津波ハザードマップ」にあるような、津波や高潮などの危険がある区域(災害危険区域等)や、「土砂災害ハザードマップ」にあるような、地滑りや土砂災害リスクの高い区域(土砂災害警戒区域等)については、説明が義務付けられているものの、洪水や内水氾濫といった「洪水ハザードマップ」に関連する情報については義務付けられていない。浸水想定地域における宅地開発についても、現状では開発行為そのものに規制はない状態だ。こうした状況を受けて、国は宅建業者に対し、不動産業界団体を通じて浸水想定地域の不動産取引におけるハザードマップの提示を要請した。業界団体や宅建業者からは、自治体のHPの情報が更新されていなかったり、ハザードマップ上における物件の位置が特定しづらいなどといった不満が出ており、自治体の対応の不確かさは否めない。なお台風15号と19号、およびその後千葉県を襲った豪雨では、自治体のハザード情報で指摘されていない場所まで浸水被害が発生した。自然災害のリスク回避は最終的には自分自身が判断するよりほかない。

2019.11.29