Jリートへの物件集約がモノ不足感の1要因

~日本不動産研の調査から~

 日本不動産研究所はこのほど、「不動産取引市場調査」(2019 年上期)の結果概要をまとめた。2019年上期の取引市場は、2018年下期に約1.8兆円程度に減少したまま、概ね同水準で推移した。エリア別では、J-REIT や機関投資家は市況悪化時でも安定的なキャッシュフローを維持できる都心の優良物件への選別投資を進めており、その結果、都心 5 区の割合は安定。地方エリアは特筆すべき公表取引事例は少なかった。一方、不動研はJ-REITへの物件集約が「モノ不足感」を生み出す要因の1つと指摘。足元でもJ-REITの買越が続いており、物件不足感は当面続くと見ている。J-REIT、東京証券取引所、日経不動産マーケット情報等の公表事例を独自に集計。2001 年上期~2019 年上期までで、約 2万6300 件の取引事例を収集し、データベースを構築。半期毎にデータを更新している。

不動産取引市場の規模(取引金額が公表されている取引事例についての取引金額の合計)は、大型取引や外資系プレーヤーの取引の減少等により、2018 年下期は 1.8 兆円程度に減少、2019 年上期も概ね同水準となった。

不動産取引市場における地域別の取引金額割合をみると、2016 年上期以降、都心 5 区・東京23 区内の割合が減少。地方でもモノ不足が進行するなか、2017 年上期・下期とも、相対的にリスクが高い首都圏の案件が取引対象になり、首都圏の割合が増加した。また、2017年下期以降は、外資系機関投資家による大型取引や、J-REIT のリバランス等が相次ぎ、都心 5区の取引金額割合は増加に転じた。高値圏が続くなか、J-REIT や機関投資家は市況悪化時でも安定的なキャッシュフローを維持できる都心の優良物件への選別投資を進めており、その結果、都心 5 区の割合は安定している。一方、地方エリアにおいて、2018 年下期は「うめきた 2期」(大阪市)などの大型取引もみられたが、2019 年上期は特筆すべき公表取引事例は少なかった。

 不動産取引市場における 2001 年以降の売買主体別買越・売越状況を見ると、J-REIT の買越が目立つ。特にリーマン・ショック以降は、唯一買越しを続けるプレーヤーとしてその存在感を増してきた。ひとたび、J-REIT が不動産を取得すると、売却を行うケースは限定されることから、J-REITへの物件集約が、昨今の不動産取引市場での「モノ不足感」を生み出す要因の1つになっている。2017 年は外資系プレーヤーが勢いを増すなかで、J-REIT の買越額が大幅に減少したが、2018 年に入るとポートフォリオの入替を進める一方で、スポンサー取引中心に都心の優良物件の取得を続けており、買越額が大幅に増加した。2019 年上期においても同様の傾向が続いていることから、「モノ不足感」は当面継続すると見ている。  外資系プレーヤーの取得金額は、2017 年下期に過去 2 番目に多い約 7300 億円に達したものの、2018 年以降は減少傾向に転じ、2019 年上期は約 1900 億円となった。

2019.11.29